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治療したはずの奥歯がまた痛む——その原因を整理します
神経を取った歯なのに、噛むとズキッと響く。数年前に時間をかけて治したはずなのに、なぜまた痛むのだろう——そう戸惑う方は少なくありません。神経がない歯でも、根の先や歯根そのものに変化が起きれば痛みが出ることがあります。この記事では、痛みの原因と抜歯を避けるための再治療の選択肢、費用や期間の目安までを整理します。
この記事の要点まとめ
- 神経を取った歯の痛みは、根尖の炎症や歯根のひび割れ、歯周組織の変化など複数の原因が考えられます
- CTやマイクロスコープを用いた再根管治療、歯根端切除術など抜歯以外の選択肢も検討されます
- 保険と自由診療で費用・通院回数は異なり、痛みへの対応が遅れると周囲の骨へ影響が広がる可能性があります
神経を取った歯が再び痛む主な原因と仕組み

神経(歯髄)を取った歯の内部には、痛みを感じ取る組織がもうありません。それでも痛むのは、歯の外側にある歯根膜や周囲の骨、歯ぐきが刺激を受けているからと考えられています。痛みは末梢神経から中枢神経へ信号が伝わって生じるため、歯の中の神経がなくても、歯を支える組織の神経が反応すれば痛みとして届きます1。
根の先端に細菌が再繁殖する根尖性歯周炎
よくみられるのが、根の先に炎症が起きる根尖性歯周炎です。根管はまっすぐな一本道ではありません。枝分かれや湾曲、細かな側枝が入り組んだ複雑な形をしています。過去の治療で薬剤が緊密に届かなかった部分や、被せ物の縁のわずかな隙間から細菌が入り込むと、年月をかけて根の先で増えていくことがあります。
やがて根尖部に膿の袋(病巣)ができ、周囲の歯根膜が圧迫されて「噛むと響く」「浮いた感じがする」といった症状につながります。数年、ときには十数年経ってから症状が出るのは、細菌の増殖と身体の抵抗力のバランスが変化する時期に個人差があるためと考えられます。
噛む力による歯根破折やひび割れ
神経を取った歯は内部への栄養供給が絶たれ、水分量が減って弾力が失われていきます。大きく処置した歯であれば、残っている歯質そのものも薄い。そこへ噛みしめや食いしばりの負荷が集中しやすい状態が重なります。
その結果、歯根に微細な亀裂(クラック)が生じたり、縦方向のひび割れへ進んだりすることがあります。亀裂は細菌の通り道になり、周囲の骨や歯ぐきに炎症が波及する場合も。特定の一箇所だけ噛んだときに鋭く痛む、歯ぐきの一部が繰り返し腫れる——こうした場合は、破折の可能性も含めた確認をおすすめします。
歯ぐきの炎症(歯周病)や隣接歯からの放散痛
原因が歯の内部にあるとは限りません。歯周病が進んで歯を支える骨が減ると、歯が動いて噛むたびに痛みが出ることがあります。根尖性歯周炎と歯周病が同時に進行する「歯内−歯周複合病変」もあり、どちらが主因かの見極めが処置方針を左右します。
また、隣の歯のむし歯や、噛み合う歯の負担が痛みとして広がって感じられることも。人は歯の痛みの出どころを言い当てにくく、実際には隣接歯や上下の別の歯が原因だったというケースも珍しくありません。だからこそ自己判断で決めつけず、画像検査と診察で原因を切り分けることが出発点になります2。
抜歯を回避して歯を残すための精密な再治療アプローチ
再び痛みが出たからといって、すぐ抜歯という話になるわけではありません。原因を立体的につかみ、感染源に届く処置ができれば、歯を残す道が見えてくるケースもあります。
歯科用CTとマイクロスコープによる原因特定と再根管治療
二次元のレントゲンでは、根の先の病巣が周囲の骨と重なって写り、大きさや広がりを読み取りにくいことがあります。歯科用CTを用いると骨の欠損範囲や根の本数・湾曲を立体的に確認しやすく、これまで処置されていなかった根管が見つかることもあります。
再根管治療では、古い被せ物と充填材を取り除き、感染した部分をあらためて清掃します。この工程を肉眼だけで進めるには限界があるため、当院ではマイクロスコープや拡大鏡で視野を広げ、根管内部を確かめながら処置を進めています。あわせて歯科用CT、位相差顕微鏡、レーザー治療機なども備え、原因の把握と感染のコントロールに活用。唾液の侵入を防ぐ防湿処置も、再感染を抑えるうえで欠かせない工程です2。
根の先端を外科的に処置する歯根端切除術という選択肢
被せ物や土台が強固に装着され、外すと歯質を大きく失ってしまう場合。あるいは根管の湾曲や石灰化で器具が病巣まで届きにくい場合には、歯根端切除術という外科的な方法が検討されることがあります。
歯ぐきを小さく開き、根の先端部分と周囲の病巣を取り除いて断面を封鎖する処置です。手術自体は1回で終わることが多く、上部の被せ物を活かせる場合がある点が特徴。ただし根の位置や骨の厚み、上顎洞や下顎管との距離によって適応が分かれるため、CT画像による事前確認が前提となります。すべての歯に行える処置ではない点はご理解ください。
歯を残せる状態と抜歯が検討される状態の判断基準
保存を目指しやすいのは、根の先の炎症が主因で、歯質が一定量残り、歯を支える骨も保たれている場合です。反対に、歯根が縦方向に深く割れて骨の中まで分離している、歯根の大部分で骨吸収が進んでいる——といった状況では、処置を重ねても炎症が繰り返される可能性が高くなると考えられます。
こうした場合は、無理に残すより、抜歯後の補綴(インプラント・ブリッジ・入れ歯)まで含めて長期的に検討したほうが、周囲の歯を守ることにつながる場合もあります。なお、インプラントなどの外科処置を選ぶ場合は、処置後の定期的なメンテナンスが状態維持の鍵となります。美濃加茂市の当院では、TC(トリートメントコーディネーター)が間に入り、専用のカウンセリングルームで選択肢と見通しをお伝えしたうえで、患者さんご自身に選んでいただく進め方を大切にしています。
再治療の費用目安・通院期間と痛みを放置するリスク
家事や仕事に追われる中で、通院回数と費用が読めないのは大きな不安材料です。おおまかな目安を知っておくと、判断の助けになります。
保険診療と自由診療における治療内容や費用の違い
保険診療の再根管治療は、3割負担で数千円程度から始められ、被せ物まで含めると1万円台〜が一つの目安。通院はおおむね3〜6回程度、期間にして1〜2ヶ月を見込むケースが多くなります。制度上、使える材料や1回あたりの時間に一定の枠があります。
一方の自由診療では、マイクロスコープを用いた精密な処置や、時間をかけた清掃・封鎖、材料選択の幅などに対応しやすくなります。費用は歯の種類や根管の数によって幅があるため、当院での具体的な金額はカウンセリングの際に治療計画とあわせてご提示しています。金額だけでなく、その歯を今後どれだけ使い続けたいかという視点で検討していただくことをおすすめします。
痛みを我慢・放置した際に周囲の骨へ広がるリスク
痛みが自然に和らぐことはありますが、それは炎症が治まったサインとは限りません。膿の出口ができて内圧が下がっただけ、ということもあります。根尖の病巣が広がれば顎の骨の吸収が進み、隣の歯を支える力にも影響する可能性があります。
さらに炎症が周囲組織へ波及すると、腫れや発熱を伴い、処置の負担が大きくなる場合も。全身の健康と口腔の状態は互いに関わることが知られており1、早めに原因を確かめることが、結果的に選択肢を広げてくれます。
受診までの間に役立つ応急的な過ごし方と注意点
受診までは、市販の解熱鎮痛薬を用法用量の範囲で使い、痛む側での咀嚼を控えます。硬いもの・熱いものは刺激になりやすいので避け、痛む部位は温めないこと。入浴・飲酒・激しい運動は血流が増えて症状が強まることがあるため、控えめにしてください。腫れがあるときは、冷たいタオルで頬の外側を軽く冷やす程度にとどめます。歯みがきは痛みのない範囲でやさしく続け、清潔を保ちましょう。あくまで一時的な対処であり、原因への処置には受診が必要です。
よくある質問
Q1. 神経を抜いた歯が1ヶ月経っても痛いのはなぜですか?
A. 処置後しばらくは組織が落ち着く過程で違和感が残ることがあります。ただ1ヶ月続く痛みの場合、根の先の炎症が残っている、被せ物の高さが合っていない、歯根に亀裂があるなど別の要因が関与している可能性も。画像検査を含めた再確認をおすすめします。
Q2. 昔に神経を抜いた歯が今になって痛むのはなぜですか?
A. 根管内にわずかに残った細菌が長い年月をかけて増え、根の先に病巣をつくることがあります。また、神経を失った歯はしなやかさが低下するため、噛む力の蓄積で亀裂が生じる場合も。時間が経ってから症状が出るのは珍しいことではありません。
Q3. 神経を抜いた歯が、何もしていないのにズキズキするのはなぜですか?
A. 根の先の炎症が急性化すると、噛まなくても拍動するような痛みが出ることがあります。歯の内部ではなく、歯根膜や周囲の骨の神経が反応している状態と考えられます。自然に軽くなっても原因が消えたとは限らないため、確認を推奨します。
Q4. 神経を抜いた後、他の歯が痛くなるのはなぜですか?
A. 痛みの出どころを脳が特定しきれず、隣の歯や上下の歯に広がって感じられることがあります。また、痛む側をかばって反対側で噛む習慣がつくと、その歯に負担が集中して症状が出る場合もあります。
Q5. 再根管治療をすれば、もう痛みは出ないのでしょうか?
A. 感染源を丁寧に除去して緊密に封鎖できれば経過が落ち着くことも期待されますが、結果をお約束できるものではありません。根管の形態や残存歯質、噛み合わせの状態によって経過は異なります。処置後も定期的なメンテナンスで状態を確認していくことが大切です。
参考文献
1. 厚生労働省「健康づくりサポートネット(疾病・健康に関する情報)」 https://kennet.mhlw.go.jp/information/
2. 公益財団法人 日本医療機能評価機構「Minds ガイドラインライブラリ」 https://minds.jcqhc.or.jp/
H19年 愛知学院大学にて臨床研修位課程終了
H19年〜H21年 津島市ウエダ歯科矯正歯科にて勤務
H21年 ファミリー歯科勤務
R5年 ファミリー歯科美濃加茂おとなこども矯正にリニューアル
日本口腔インプラント学会所属
JIADSペリオコース
JIADSエンドコース
JIADS補綴コース
JIADSペリオインプラントアドバンスコース
生田セミナー
PGI咬合・顎関節症コース
オステムインプラントマスターコース
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